■成約から成功へ

友好的M&Aが一般化するにつれ、M&Aが「成約すること」から「成功すること」に重点が置かれるようになってきた。M&Aの成約により事業承継問題を解決するのはもちろんのこと、M&A後の企業の統合プロセスであるPMI(Post Merger Integration)に力を入れることで、いかにシナジー効果を創出し会社を成長させるか、いかに円滑に組織の融合を図るかといったことに重点が置かれるようになっているのだ。

当社では、M&Aの成約式がPMIの第一歩であると考え、ホテルクラーク出身者などで構成される専門スタッフが、成約式の実行をお手伝いしている。M&Aは企業同士の結婚のようなものなので、成約式では本物の結婚式のように、譲渡オーナーの奥様からの手紙や花束贈呈、乾杯、記念撮影などを行う。これは譲渡企業オーナーの花道を飾るという目的だけではない。譲受け企業の経営陣・従業員は、長年経営者としてやってきたオーナーの想いを聴くことで、決意を新たにし、M&Aを成功に導くことができるのだ。

成約式写真

よい調印式はよいPMIへとつながる

 

■建設業にも業界再編時代が到来

ご存知のように、建設関連業界は特に業界再編時代の様相を呈している。同業間のM&Aはもちろん、隣接業種も交えた再編が進んでいるのがこの業界の特徴だ。積水ハウスや旭化成ホームズなどのハウスメーカーによるゼネコンの買収が代表的な例だが、反対に、ゼネコンがハウスメーカーを買収している事例もある。あらゆる業態の会社でM&Aが行われて、建設業界内の垣根は低くなってきているといえる。
当社では業界再編を、「企業が集まることによって新しいビジネスモデルを作り上げること」と定義している。「新設工事に強い会社と、維持修繕工事に強い会社」、「電気工事会社と管工事会社」などの組み合わせのように、新しいビジネスモデルを目指して多くのM&Aが行われている。

業界再編が進むと、その波に積極的に乗れるかどうかでその後の企業の成長に大きな差が生じる。規模のメリットはもちろん、ビジネスモデルの変化による差別化が進み、売上や利益率、延いては従業員の給与水準にまで差が出てくる。
企業規模の大小を問わず、あらゆる経営者が業界再編の動きに注視する必要がある時代が来たのだ。

M&Aは変化している

AUTHOR PROFILE

業界再編部 副部長

西田 賢史

一橋大学経済学部卒業。2008年日本M&Aセンター入社以降、中堅・中小企業のM&A仲介に従事。上場企業専門の部署にて、買収から子会社の売却まで幅広い資本政策を支援した後、現在は業界特化型の業界再編部にて、建設・住宅・不動産業界の責任者として多くのM&A成約に取り組む。