友好的M&Aの普及

建設業においてもM&Aは年々身近なものになっている。M&Aが企業の存続と発展を実現する有効な手段であるという認識は広く持たれるようになり、全国の至る所でM&Aが成立している。譲渡企業にとってはオーナー社長の事業承継問題の解決、譲り受け企業にとっては、規模の拡大・他地域への進出・人材の獲得などを実現するための手段として、友好的M&Aが広く認知されてきているのだ。

M&A成約件数推移

建設・不動産業界のM&Aは増加基調

 

M&Aの活用:「戦略的な譲渡」

近年では、オーナーが会社を譲渡する理由は、事業承継問題によるものだけに限らなくなってきた。若い経営者による「戦略的な譲渡」が目立ってきている。

ある西日本の建設会社の事例では、オーナーが40代と若く、会社の業績も安定して推移していた。しかし将来の業界環境を考え、自社単独での会社の安定・成長は難しく大手企業との提携が必要と判断し、上場会社の傘下に入ることを決断した。その結果、「創業者利潤の獲得」だけでなく、「販路拡大による売上増加」「人材採用力の向上」「資金面のバックアップ」「従業員の処遇向上」というプラスの効果を享受することができた。

このように若いオーナーの場合、M&A後も引退せず雇われ社長になるとケースが多い。この事例でも、40代のオーナーは引き続き経営者として活躍しており、親会社からは「ゆくゆくは親会社の経営にも関与してほしい」と要請されているのだという。このように、企業の成長のためにM&Aを「活用」し、戦略的に会社を譲渡する時代になったのである。

AUTHOR PROFILE

業界再編部 副部長

西田 賢史

一橋大学経済学部卒業。2008年日本M&Aセンター入社以降、中堅・中小企業のM&A仲介に従事。上場企業専門の部署にて、買収から子会社の売却まで幅広い資本政策を支援した後、現在は業界特化型の業界再編部にて、建設・住宅・不動産業界の責任者として多くのM&A成約に取り組む。